自分が働いている職場が活き活きとできる場であって欲しいと思うのは、立場に関わらず共通のものだと思います。活き活きとすることで、モチベーションが高まって仕事に対するやる気や工夫が増加したり、チームメンバーとのコミュニケーションや関係が向上して、協力体制が強化されたりします。その結果として、チームの成績、生産性、ひいては企業の業績が向上することが期待できます。
この記事では、組織の制度や構造といったハード面だけでなく、人と人の関係などのソフト面にも着目して改革をしようという組織開発という考え方を説いた「入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる」(中村和彦著 光文社新書)について書いていきます。
組織開発が必要とされている状況
組織が有効に機能するには、ハードな側面とソフトな側面があり、企業は主に前者に力を入れてきた。ハードな側面とは戦略や構造、業務プロセスや制度といった明文化できる事を指します。これは短期的に効果が出やすい改革といえ、それに注力してきたのです。
著者は現在は以下のように日本企業には組織課題があり、これらを解決するためには、組織のソフトな側面、つまり人のスキル、意識、モチベーションや、人と人の間の関係性、コミュニケーションの仕方やチームワークなどの改革が必要になっていると説きます。
- 活き活きとできない社員(高ストレス、低モチベーション)
- 利益偏重主義(仕事の意義を語らない、数字のトップダウンでやらされ仕事感)
- 個業化する仕事の仕方(IT化の進展や同僚間での情報共有の不足)
- 多様性の増大(雇用形態や仕事観が多様になり、価値観が様々になってきた)
組織開発とは何か
人材開発が個人のスキル開発を目指す取り組みなのに対して、組織開発は個人、個人と個人、グループの中の各個人、グループ間、大きな組織全体といった、様々なレベルに働きかけて組織を良くすることを目指す活動です。
組織で行われていること(What、コンテント)の裏側には、それを実行している人たちがどの様な気持ちか、どの様に仕事が進められているかという(How、プロセス)の部分があります。このプロセスが結果に影響を与えることを著者は綱引きの例を使って、プロセスロス・プロセスゲインという考え方を紹介します。
実際の生産性 = 潜在的生産性 ー 欠損プロセスに起因するロス
一人ひとりの持っている生産性の和が潜在的生産性ですが、組織として働くときに力を抜いてしまったり、各人のベクトルやタイミングがあっていないと、潜在的生産性が発揮されません。
これが至るところで起こっているのが日本企業の課題で、プロセスロスをなくし、むしろプロセスゲイン、つまり一人ひとりの個別の力の和よりも、チーム・組織として働くとより大きな力がでる状態に持っていくことが組織開発が行っていくことになります。
組織開発の手法
筆者は組織開発について何をするか(Doing)よりも、あり方(Being)が大切だと考えており、手法だけを取り上げることを是としていません。そこでこのブログでも組織開発を行うに当たっての価値観から伝えていきます。
- 人間尊重の価値観(人間は基本的に善であり、活躍の場が与えられれば自律的かつ主体的に力を発揮する)
- 民主的な価値観(意思決定においてはできるだけ多くの人が関与したほうが決定の質が高まり、結果として関与する人たちや、その人達の関係性においても効果がある)
- 当事者中心の価値観(当事者意識の高まりと主体的に変革に取り組む姿勢を重視)
- 社会的・エコロジカルシステム志向性(組織開発の結果、社会や環境、世界に悪影響がでるのは避けるという考え方)
その上で人と人の関係に関する「ヒューマンプロセス」を改革する手法として、トレーニング・コーチング・チームビルディング・サーベイフィードバック・組織活性化運動などの多数の手法を列挙して紹介します。
しかし組織開発はこの様なヒューマンプロセス単独を改善しようという取り組みではなく、戦略や組織構造、業務プロセス、人材マネジメントなどの変革を行いながら、同時にヒューマンプロセス改革に取り組むものなど説いています。
前編 まとめ
この記事では、なぜ組織開発が求められているのかという背景に始まり、組織開発とはなにか、その具体的な価値観や実施手法はどういったものか、と言ったことを取り上げてきました。この後は組織開発の進め方と組織開発を使って日本企業を活性化させていく道について内容を紹介していきます。
後編はこちら
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