組織開発という経営改革・組織改革のための考え方があります。この記事では「組織は変われるか 経営トップから始まる「組織開発」」(加藤雅則著 英治出版)という、組織開発をビジネス/ストーリー仕立てにした書籍の内容をお伝えしていきます。
著者の加藤雅則氏は、長年コンサルタントとして組織開発に取り組んできた方で、17年間に渡って日系・外資系・中堅企業から売上高2兆円規模まで、様々なクライアントの支援を行ってきています。その経験を踏まえてまとめたのが本書で、組織開発に興味はあるが、理論や歴史から入るのではなく、実際の現場で活用されるイメージを持ちたいという方々に特に有用だと感じられます。
事務局は何をすべきか
まずは組織開発実践者(事務局)は何をするべきかについてです。組織開発に関心を持つきっかけは従業員の意識調査で、組織の活性度や満足度が低下して危機感を持つことが多いのですが、それに対して従来型の研修や制度改正では対応できないと著者は言います。
単発の研修を受けても、業務の現場に戻った時に上司が以前のままだと、研修でやったことを実践できない、多様化した考え方がある中で人事制度で人の意識や行動を変えることに無理がある、という分析です。
意識が低下している組織を変えるには、全員が変化に適応し、無意識の慣習や悪習慣を断ち切ることが必要だということです。そのための具体的なポイントとしては以下の3つです。
- 経営トップから始める
- 各層のコンセンサス
- 当事者主体
この3つを事務局が強く意識して取り組むことが、まず最重要だということです。
経営トップはどうすれば本気になるか
このプロジェクトの最初の肝が「経営トップから始める」になっているのは影響力の問題です。この様な取り組みに現場の役員などが反発して骨抜きにされてしまうリスクを避けるためには、経営トップが本気であることを示す必要があります。そこで事務局の最初の重要な仕事は、トップを本気にさせることです。
そのためのプロセスとしては以下のステップが必要です。
- 現状認識のすり合わせ
- リスクシナリオの提示
- 組織課題の本質を見極める
- 組織開発のプロジェクトを提案する
- トップの想いを引き出す
多くの場合、問題の本質は経営への信頼のゆらぎであり、その解決はなにかの技術をもってできる種類のものではなく、トップ・役員・部長層が対話を重ねて、問題解決につながる新しいプロセスを開発することが必要だという認識を共有するのが重要です。
組織開発というのは成果が目に見えにくいだけに、トップ(や以下の階層においても)にとって、なまぬるい、不費用なプロジェクトに見えがちです。「そんなことをやって勝てるのか?」ということです。ここで事務局がリスク・本質課題をしっかりと訴えてプロジェクト承認を勝ち取らなくてはなりません。
そしてトップがいまの組織について感じていることの本音を引き出し、その想いを社内に発信することが、それ以降のプロジェクト活動・成果の創出につながる第一歩になります。
変革の機運はどうやってつくるか・現場のアクションにいかにつなげるか
トップが組織開発にコミットしたら、それを引き継いで各層のコンセンサスを築いていくことが必要です。この時点では期待層=20%、反対層=10%、傍観者=70%というのが大まかな分布で、期待層は若手、反対層はシニアが中心となることが一般的です。このままだといくらトップが号令をかけても、現場にまで改革の機運が届かずに、単発の研修を受けた後の無力感と同様の、「変わりたくても変われない」に陥ってしまうからです。
そのために実施しているのが役員層および部長クラスそれぞれのワークショップです。
基本的な構図やいずれも同じです。役員の中でも部長の中でも、社長のメッセージに賛同、様子見、反対の意見を持つ人がいる訳です。これらの方々に対して、トップの時と同様に事実としての意識調査の結果を材料に、トップのメッセージを入り口にして対話を重ねます。
現状の問題認識を明らかにするところから始め、どの様な組織でありたいのか、そのためには何を変えていくことが必要か、具体的にはどの様なアクションを取るか、といったことをまとめ、トップとの皮やフィードバックなどを得ながら固めていくというのがワークショップで実施することです。
このプロセスを通じて、役員・部長の中に、組織開発の必要性を自分ごととして見る機運が高まります。もちろんこの時点でも積極派・消極派がいるのは普通ですが、積極派がワークショップの後に始める自律的な動きを事務局は支援し、社内広報活動を行うことによって、空気感を醸成させていくことが成功につながるということです。
組織開発はどうすれば自走するか
本書はこういったワークショップ等を通して、経営トップから始まって各層が組織の問題点に対してコンセンサスを持ってアクションを決め、現場にまで改革がつながるように支援がされていく様を描き、中期経営計画に、それまではなかった組織開発の課題を盛り込むところで終わります。そして社内に組織開発部を設立し、外部コンサルタントの力を借りずに、自分たちの力で終わりなき組織開発の旅を続けていくというのが最終です。
この章の中では著者が考える組織開発の成功要因が改めて語られますが、それらは以下の様な点です。
- 「性弱説」に立つ
- 人事を断行する
- 祝福する
- 感情をマネジメントする
- 個を活かす
- ビジネス・パートナーを育成・設立する
組織開発という経営改革・組織改革のための考え方があります。この記事では「組織は変われるか 経営トップから始まる「組織開発」」(加藤雅則著 英治出版)という、組織開発をビジネス/ストーリー仕立てにした書籍の内容をお伝えしていきます。
著者の加藤雅則氏は、長年コンサルタントとして組織開発に取り組んできた方で、17年間に渡って日系・外資系・中堅企業から売上高2兆円規模まで、様々なクライアントの支援を行ってきています。その経験を踏まえてまとめたのが本書で、組織開発に興味はあるが、理論や歴史から入るのではなく、実際の現場で活用されるイメージを持ちたいという方々に特に有用だと感じられます。
まとめ
著者が17年間のコンサルタントとしての支援実績をもとに、組織開発の流れや肝をストーリー仕立てで描いているのが本書です。トップから始めて各層が組織開発に対してコミットメントをしていき、当事者意識を持って組織の活性化を図るという流れが実例も交えながら紹介されています。
これを入り口にして、組織開発について理論や実践を学んでいくのが有用だと感じられる一冊です。
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