アジャイルとはもともとはシステム開発の手法として生まれたものですが、その長所をビジネス全般に生かそうということで、アジャイル型の組織運営を取り入れる企業が増えています。
しかし長年の間、モノづくりを中心としたヒエラルキー型の組織に馴染んできた多くの人にとっては、うまく運営する自信がないのが実情でしょう。
この記事では、従来型の組織との違いに触れた上で、どうやってアジャイル型を取り入れ、狙った成果を出していくかを取り上げます。
従来型の組織との違い
従来型・ピラミッド型の組織の特徴は統制が取りやすいことです。
- トップから指示命令や情報が階層を伝わっておりていくことで、組織全体が共通の目的・戦略・戦術に従って動くことが可能
- ただ一方で情報が階層を順々におりていくこと、また現場の情報も階層を順々に上って伝わっていくために、スピードは遅くなる
- また現場は上席からの指示に従って活動する思考になるために、自分で判断したり、工夫したり、変化を察知して対応したりといった力は弱い
この従来型の組織は、環境が安定していて先を見通せる時代には有効でした。
トップと経営戦略部が作った戦略が、時間をかけて現場に落とし込まれていき、現場はそれを実行することに注力するという役割分担が機能していました。戦略の伝達スピードが遅くても、環境はゆっくりとしか変化しないので、問題ありませんでした。
アジャイル型は逆の特徴があります。
- 現場で環境の変化を察知すると、その変化に最適だと思われる対応を現場で考えて実行する
- 上席からの指示に基づくのではなく、現場で察知した環境変化に基いて動き方を決めるために、現場での判断力・分析力・行動力などが養われる
- 現場が自律的に動くことを奨励する組織形態なので、階層を伝わって指示が徹底されていく様な、ピラミッド型の組織で当たり前だったような統制が取りにくい
現在のように環境やテクノロジーの変化が速くなっている時代にマッチしたやり方だと考えられています。従来の様に情報をトップに上げていって、戦略の策定を待ってからそれを実行する、というやり方ではなく、スピーディに環境に対応していくことを可能にする組織運営だと考えてよいでしょう。
アジャイルを学ぶ
組織としての特徴が、これまで親しんできたピラミッド型組織とは真逆といって良いくらいに違うわけですから、アジャイルを取り入れるにあたっては、まずアジャイルを学ぶことが必要です。
書籍もたくさん出ていますので、それらで基礎知識を仕入れるのが良いですが、実践してみないと腹に落ちないと思います。そこはコンサルティング会社やシステム開発会社が、アジャイル研修を多数開催しているので、個人または会社のチーム単位で参加してみると良いでしょう。
アジャイルは元々はシステムの開発手法として生まれているので、書籍や研修コースもシステム開発の色が残っているものが多いですが、「これをビジネスに応用したらどうなるだろう」という視点で参加するのが良いです。
アジャイルを試す
アジャイルを学んだら実践です。この際も最初は研修を受けた会社の講師にスーパーバイザーとして参加してもらうと、初期のつまずきから逃れることができて有効です。
なおアジャイルは独特のワードが多く出てきたり、実践手法も通常の仕事の進め方とはだいぶん違うので、同じ社内でこの手法を使う人と、まったく知らない人が混在していると、アジャイルの運営をしようとしてもうまく行きません。アジャイルを知らない人がアジャイルな仕事の進め方を否定してしまうわけです。
それを避けるためにも、この実践フェーズには、できるだけ多くのメンバーを巻き込んで認知度を上げることが有効だと思われます。
アジャイルを適用・応用する
こうしてアジャイルな仕事の仕方や、根底にあるアジャイルの考え方が浸透してきたら、次に進めます。経験した人は新しい仕事の進め方に難しさを感じつつも、「成果が速く出る」「仕事のサイクルを速めることの効果を実感した」「意見がたくさん出るようになった」などの効果を感じるようになっているはずです。
管理職の考え方もチェンジしてトライ
アジャイル型の組織になると早い変化に対応しやすいと言いましたが、裏を返すと管理職の存在意義が以前とは変わることを意味します。情報のハブになって集約したりアップロード・ダウンロードすることが管理職の付加価値の大きな一つでしたが、アジャイルだと現場で発見された事実を元に、どんどんと変化を実践していってしまうので、管理職の介在する場面が減ります。アジャイル型組織に切り替えていく際には、このことも認識して、管理職の動き方についても変化を加えていくのが、成功要因といえるでしょう。
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